人気アプリ「ウマ娘」が牽引する現在の競馬人気

最近、競馬に興味を持つ若者が増えています。その流行を生みだした要因の一つは紛れもなくウマ娘でしょう。ウマ娘とはCygames社より配信されている「ウマ娘プリティダービー」というアプリゲームの略称で、競走馬を擬人化したキャラクターを育成するゲームです。2021年2月にリリースされたウマ娘は、アプリ調査会社の米SensorTowerによると2021年に約9億6,500万ドル(約1,096億円)の売り上げを記録しています。

なぜウマ娘はこんなに流行ったのでしょうか?

この大ヒットの理由の一つは、「ゲーム内では競馬はギャンブルではなく、スポーツとして描かれている」ということですこれにより今まで競馬に興味がなかったライトな層も取り込めたことが大きく寄与していると思われます。

ウマ娘は実際の競走馬の物語を基に描かれており、例えば以下のような名馬や名レースが作中に出てきます。往年の競馬ファンには懐かしい名前であり、まさに今アプリで楽しんでいる若者層にとってはキャラクターへの思い入れがあるのではないでしょうか。

①ゴールドシップ

2011年~2015年に活躍した競走馬です。非常に優秀な成績を残しつつも、究極の気分屋であったため数々の伝説を残しながら多くのファンに愛される馬でした。

2012年G1皐月賞では、最後方から追走していたゴールドシップが最終コーナーから一気に追い上げ1着となったことにより、ファンの間ではまるでワープした様に見えたことからゴルシワープという言葉が生まれました。

2015年宝塚記念では1番人気となりながらも、スタートのゲート開放と同時に立ち上がりで大きく出遅れ、結果的にゴールドシップに賭けられていた約120億円の馬券が紙くずになってしまったという120億円事件を起こしています。

②トウカイテイオー

1990年~1994年に活躍した競走馬です。幾度もの骨折の経験をしつつも復活の勝利を挙げた競争生活から奇跡の名馬とも言われています。皇帝と呼ばれ非常に優秀な成績を残したシンボリルドルフの子供であり、1990年のデビュー戦では余裕の勝利を飾った後も連勝を続けていました。

その後2度も骨折をしながらも復帰しては好成績を残していましたが、1992年の有馬記念では生涯最低順位である11着となってしまいました。その直後に3度目の骨折をしてしまいます。

ただそこでも不屈の精神で引退はせず、1年越しの復帰レースが前回11着となった有馬記念でした。この1993年の有馬記念で1年のブランクがあるにも関わらず優勝しました。このようなことから奇跡の名馬と呼ばれ、今でも多くのファンがいますね。

なるほど。競馬=ギャンブルではなく、このようなドラマティックな部分がいまの時代にはまったんですね!

野球やサッカーなどのスポーツを応援する理由のひとつとして「この選手を応援したい」ということがありますよね。競馬も全く同じで、それぞれの競走馬にあるエピソードを知ると応援したくなっていきます。そのような競走馬の生涯に関わることができ、ドラマの伴走者になることができるのが馬主なのです。

ただ、いきなり馬主になるのはハードルが高そうですよね。そこで、ここからは比較的チャレンジしやすい「共有馬主」について解説していきます。

共有馬主になるための準備

誰でも気軽にチャレンジできる馬主は、大きく分けて「一口馬主」「共有馬主」の2つがあげられます。

一口馬主と共有馬主の違い
一口馬主 共有馬主
馬主資格は不要です。

法的には金融商品と分類されるもので、出資している競走馬がレースにでた際は配当として口数に応じて分配されます。

馬主資格を必要としないため気軽に一口馬主になれますが、厳密には馬主ではないため、競馬場の馬主席での観戦や厩舎への訪問などはできません。
馬主として登録を受ける必要があります。

1頭の競走馬に掛かる費用を複数の馬主で負担できるという点では一口馬主と同じですが、一口馬主とは違い本物の馬主感覚を味わうことができます。

共有馬主になるには?

①馬主登録

共有馬主になるには、まず馬主としての登録が必要です。JRAが主催している「中央競馬」と「地方競馬」のどちらかに馬主登録をする必要がありますが、中央競馬の馬主になるには2年連続年収1,700万円以上、総資産額7,500万円以上と非常に厳しい基準があります。

対して地方競馬の馬主になるには比較的ハードルが低くなります。地方競馬の馬主登録の要件は直近年における所得金額が500万円以上。これだと手が届きやすいですよね。

②競争馬の購入

馬主登録が完了すれば、早速自分の愛馬を探しに行きましょう。競走馬の購入方法としては、大きく下記の4つの方法があります。

    <競走馬の購入方法>

  • 牧場から直接購入する
  • せり市場やインターネットオークションに参加する
  • すでに競走馬登録をしている馬を、その所有馬主から購入する
  • 家畜商の資格をもった仲介者に仲介してもらう

価格は血統や年齢、性別等によって大きく異なります。せり市場については公益社団法人日本軽種馬協会(JBBA)のホームページに情報が記載されています。

共有馬主に必要となる費用

共有馬主に掛かる費用として主に下記の3つの費用が必要です。

①馬代金

競走馬によって金額は大きく変わってきますが、安価な地方競馬では20分の1から出資することができます。仮に600万円の競走馬であれば、20分の1の30万円に抑えることができるということです。

②維持費

競走馬を購入後は月の維持費(預託料)が必要となります。いわゆる競走馬の生活に掛かる経費であり、競走馬、厩舎によって費用が異なってきます。

③その他費用

競走馬保険の掛け金や医療費、輸送費など細かい費用も掛かってきます。

馬主になることで得られるメリットや魅力

馬主を通してコミュニティが広がる

馬主になると儲けることができるのか気になる方は多いのではないでしょうか。

これについては結論、儲けることは難しいと言われています。JRAによると、2021年度の1頭平均の年間収入は約796万円とされています。先ほどもお伝えしたように馬主になるために馬代金を含めた諸々の諸経費が掛かる中で、黒字化するのは簡単なことではないと想像がつきますよね。

でもそれ以上の馬主の魅力は、自分の愛馬の一生に関わることで得られる様々な体験です。実は競走馬として産まれてくる馬も、全てがデビューできる訳ではありません。そんな中で1年、2年と見守ってきた自分の愛馬がデビューするとなると、わが子の成長のようにその感動は計り知れません。


さらに共有馬主となるとその喜びを出資者全員で分かち合うことができます。馬主にはそのような馬を通してできる関わる方々とのコミュニティもあるのです。

共有馬主でも馬主資格が必要になるので、比較的生活水準の高い方が多いと聞いたことがあります!
馬主同士の交流を通して、ビジネスにつながることも多いのだとか…。
会社や地域以外の人脈ができるだけでも、馬主になる価値は十分にあるかもしれないですね。

欧州と日本の競馬に対するイメージの違い

競馬はもともと英国で貴族の娯楽として発展してきた背景があります。そのため競馬や馬主のステータスは欧州においては非常に高く、競馬場に来る人々もスーツなどのハイファッションに身を包む人が多いです。

英国では競馬を文化の一部だと認められており、元首相のチャーチル氏やエリザベス女王など著名人が馬主であることも多々あります。日本では海外の要人が来日した際にゴルフを楽しむように、英国では交流の場として競馬が選択されることもあります。

このように競馬を上流階級の娯楽としてクリーンに捉えられていることに対して、日本はまだまだ競馬をギャンブルと捉えている見方が大半です。ウマ娘のように競馬をスポーツとして描かれているものが世に出てくることで、競馬本来の楽しさが日本に広がっていけば競馬全体のステータスが上がっていくのではないでしょうか。

英国のような文化が日本にも根付いていけば、共有馬主になるメリットも増えていきそうですね!

共有馬主になっていつもより上級な経験をしよう

共有馬主になる方法や費用、馬主の魅力について紹介しました。

この記事を通して、少しでも馬主や競馬に興味を持って頂けたら、まずは競馬場に足を運んでみることをおすすめします。馬券を買わずとも、競走馬が走っている姿や競馬場の雰囲気を肌で感じることで十分に楽しめるでしょう。

その上でさらに競馬というドラマティックなスポーツを楽しみたいという方は、共有馬主を検討してみてください!

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