脱炭素とは?地球温暖化対策との関係性やカーボンニュートラルとの違いを解説

脱炭素

まずは、脱炭素とはどういうものなのか、地球温暖化対策やカーボンニュートラルとの違いも解説します。

脱炭素とは 

脱炭素とは、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするための取り組みを指します。
二酸化炭素などの温室効果ガスが増えると気候変動が進み、豪雨災害がより大きな被害をもたらすようになったり海面が上昇したりなど、社会・経済活動に大きな影響が生じます。

こうした課題に対応するため、2015年12月にフランスのパリで開催された「国連気候変動枠組条約締約国会議」では、新たな国際枠組みであるパリ協定が採択されました。これにより、2020年以降すべての参加国が脱炭素に取り組む方針が合意されています。

脱炭素は地球温暖化対策の一つ

地球温暖化とは、温室効果ガスの増加によって地球の平均気温が上昇する現象です。温暖化の原因はさまざまなので、対策も多岐にわたります。

脱炭素は、二酸化炭素の排出を減らすことに特化した取り組みで、脱炭素は地球温暖化対策の中の重要な取り組みの一つとして位置づけられています。


地球温暖化の対策の例として、以下のものが挙げられます。

    地球温暖化の対策の例

  • 省エネルギー設備の導入
  • 電力の再エネ化(太陽光・風力など)
  • シェアサイクルやカーシェアの利用
  • メタンガスの排出削減(食品ロスの削減、廃棄物の適切な処理など)
  • フロン類の使用削減や適正回収(エアコン・冷蔵庫の買い替え時の回収強化など)
  • 農業・工業分野での一酸化二窒素(N₂O)排出抑制(肥料の適切な使用など)

カーボンニュートラルとの違い

脱炭素は二酸化炭素の排出量そのものを減らす取り組みを指す一方、カーボンニュートラルは温室効果ガス(主に二酸化炭素)の「排出」と「吸収・除去」を差し引きゼロの状態を指します。

カーボンニュートラルでは二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を減らすとともに、再生可能エネルギーや省エネ設備の導入によって、実質的に排出と吸収・除去の量の均衡を目指しているのです。

    カーボンニュートラルの取り組み例

  • 再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力など)の導入
  • 省エネルギー設備の活用による使用エネルギーの削減
  • 森林整備や植林による二酸化炭素の吸収量の向上
  • 企業や自治体によるカーボンクレジット(排出量取引)の活用
  • 製造・物流工程での温室効果ガス排出の見直し

脱炭素のメリットと課題

グラフ パソコン

社会や企業が脱炭素を推進することで、どのような変化が期待できるのでしょうか。ここでは、脱炭素の代表的なメリットと、取り組みを進めるうえでの課題について解説します。

メリット

脱炭素の取り組みは、気候変動の改善につながるだけでなく、企業の働き方や暮らし全体にも良い変化をもたらすと考えられています。

エネルギー自給率の向上に繫がる

日本のエネルギー自給率は、15.3%(2023年度)です。2025年現在、石油や天然ガスなどの化石燃料のほとんどを海外から輸入していますが、再生可能エネルギーへ転換することで、輸入依存度を低減できる可能性があります。

太陽光・風力発電、蓄電池システム、地域間での電力シェアなどを活用した電力供給などにより、自給的なエネルギー循環の促進が期待されます。災害時の分散型電源としても有効です。

産業の競争力が強化される

脱炭素に取り組む企業は、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの利用によって、生産コストの削減に繫がる可能性があります。エネルギー価格の高騰や国際情勢の影響を受けにくい体制を構築できる点もメリットです。
              
また、MaaSやスペースシェアなど、シェアリングプラットフォーム市場の拡大によって新産業が生まれ、競争力の強化に寄与すると考えられています。

建設・インフラ分野においては、電動建機やハイブリッド発電機、LED照明レンタルの活用により、現場の二酸化炭素の削減と運用コスト低減が同時に期待できます。

新たな市場や技術開発の機会を生む

脱炭素技術を活用した製品やサービスは、今後拡大が見込まれる成長分野です。
例としては以下が挙げられます。

    脱炭素技術を活用した製品やサービスの例

  • 廃棄物由来の資源を再利用するリユース・シェア型ビジネス
  • P2P(個人間)電力取引や分散エネルギーの最適制御技術
  • 水素・アンモニア燃料を活用した発電・輸送技術
  • カーボンリサイクル、二酸化炭素吸収・回収技術(CCUS)

脱炭素に向けた主な対策

太陽光発電

脱炭素社会の実現に向けて、国や自治体、企業が取り組むべき施策は多岐にわたります。ここでは、代表的な脱炭素の取り組みを紹介します。

再生可能エネルギーを導入する

脱炭素に向けた施策として、再生可能エネルギーの導入が重要になります。

主な発電方式は以下のとおりです。

    脱炭素に向けた発電方式の例

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 水力発電
  • 地熱発電
  • バイオマス発電

自家消費型の発電だけでなく、次の仕組みも注目されています。

仕組み

概要

P2P電力取引

企業や家庭間で電力を直接売買する

マイクログリッド(地域独立系統)

地域内で発電・蓄電・消費を完結させる電力ネットワーク

これにより、地域内のエネルギー供給の安定化、災害時のレジリエンス強化も期待できます。

太陽光発電と蓄電池による現場電源確保は、さまざまな施設や事業の運営において、二酸化炭素排出の削減と燃料調達リスクの低減に役立ちます。

省エネ設備を導入する

省エネ設備を導入することも、脱炭素の主な施策の一つです。省エネ設備により、電気・ガス・水道の使用量を削減でき、運用コストの最適化にも繫がります。

代表的な省エネ設備には、以下が挙げられます。

    代表的な省エネ設備

  • 高効率LED照明
  • インバーター式空調・高効率給湯機
  • 高効率モーター、FA(工場自動化)設備
  • 蓄電池・ハイブリッド発電機
  • エネルギーマネジメントシステム(EMS/BEMS/HEMS)

さらに、工場やオフィス、倉庫、建設現場などの施設でエネルギー共有・見える化を進めることで、事業全体の最適化を図ることが重要です。

レンタル活用により初期投資負担を抑えられる点は、さまざまな事業分野において有効な手段です。

脱炭素に向けて企業・自治体が行っている取り組み事例

オフィス

ここからは、企業や自治体が実際に進めている脱炭素の取り組み事例を紹介します。

企業の取り組み

各企業でさまざまな取り組みが行われていますが、今回は3つの企業をピックアップしました。

①イオングループ/脱炭素ビジョン

イオングループは、2018年に「イオン脱炭素ビジョン」を策定し、イオンモール全店舗の使用電力を、2025年までに100%再生可能エネルギーに移行する取り組みを進めています。

さらに、脱炭素型住宅の提供や省エネ家電の品ぞろえの拡充、家庭で余った電力の買い取りなどにも取り組んでいます。

②リコージャパン株式会社/脱炭素ロードマップV1.0

「脱炭素ロードマップV1.0」では、3つの主要施策を掲げています。

施策

内容

再エネ導入

事業所で使用する電力を再生可能エネルギーへ転換

車両管理・運用の最適化

HEV・PHEV・FCEV・EVへの切り替え、カーシェアサービスの活用

拠点の省エネ化

拠点の統廃合、移転、省エネ化、エアコン・照明等の設備更新

これにより、事業所の二酸化炭素の排出削減とエネルギーコスト抑制を同時に実現する体制を整えています。

③積水ハウス/ZEH(ゼッチ)

Net Zero Energy Houseの略称である「ZEH(ゼッチ)」は、断熱性の高い住まいづくりや省エネ設備の活用によりエネルギー消費をできるだけ減らしつつ、太陽光発電などで必要なエネルギーの一部を補う住宅です。

国内住宅メーカーのなかでいち早く導入されており、二酸化炭素の排出量を減らすとともに、光熱費を削減できる取り組みとして注目されています。

自治体の取り組み

自治体でも多様な脱炭素施策が進んでいます。

①生ごみの資源化(岡山県真庭市)

岡山県真庭市では生ごみを分別収集し、バイオ液肥(液体肥料化)に再生しています。焼却ごみの減量化や焼却経費の削減、バイオ液肥を農地還元することで循環型農業を推進する取り組みです。

さらに、プラスチック容器包装類やペットボトル、衣類などの資源化できるごみの分別で、循環型社会を目指しています。

②ゼロカーボントランスポート(栃木県宇都宮市)

宇都宮ライトパワーのライトラインは、地域由来の再生可能エネルギーを100%使用し、二酸化炭素を排出せずに走行しています。

世界でも類を見ない取り組みとして注目されており、自動車からの乗り換えと合わせて、年間最大約9,000tの二酸化炭素の削減が可能です。

③小田原市EV宿場町コンソーシアム(神奈川県小田原市)

小田原市では官民連携により設立された「小田原市EV宿場町コンソーシアム」は、EV(電気自動車)の普及促進やEV利用者の集客を図ることを目的とした共同事業体です。市内各地へのEV充電設備の整備や、観光施設と連携したEVカーシェアの導入、EVの充電待ち時間を観光回遊に活かす取り組みなどを進めており、EVが日常的に走行する宿場町を目指しています。

脱炭素に向けて個人ができる取り組み

太陽光パネル

脱炭素は国や企業だけが取り組むテーマではなく、私たち一人ひとりの行動も重要です。ここでは、日常生活の中で無理なく始められる脱炭素行動を6つ紹介します。

①太陽光発電を設置し、余剰電力をシェアする

自宅に太陽光発電を設置し、余剰電力を電力会社等にシェアすることで、二酸化炭素の排出量の削減に役立ちます。

以前より太陽光発電の設置費用は低くなっており、国・都道府県・市町村でも補助金が利用できる場合もあるため、低コストで導入可能です。

②マイカップ・マイボトルを利用する

マイカップやマイボトルの利用は、紙コップやペットボトルを作るときやごみを燃やすときに排出される二酸化炭素の削減に繫がります。

職場や外出時にマイカップやマイボトルを利用するだけで、脱炭素社会を目指す取り組みに貢献することが可能です。

③節電・省エネを意識する

電気を使用すると電気がつくられる過程で二酸化炭素が排出されるため、節電や省エネを意識することが脱炭素の取り組みでは重要です。

使わない照明や家電の電源をこまめに切ったり、省エネ家電に替えたりすることも脱炭素に繫がります。

④公共交通機関や自転車・徒歩を活用する

二酸化炭素はガソリンを使用することでも排出されます。そのため、電車・バスへの乗り換えやシェアサイクルや自転車通勤、徒歩での移動なども脱炭素を目指す大切な取り組みです。

自家用車やバイクなどの維持費の削減にも繋がります。

⑤食品ロスを減らす

農林水産省の調査によると、2023年度の1人当たりの食品ロス量は年間約37kgです。ごみとして回収された場合は焼却する際に二酸化炭素が発生するため、家庭での食品ロスを減らすことは脱炭素にとって重要な取り組みといえます。

企業や農家から食品を引き取り、福祉施設などに無料で提供する「フードバンク」や、余った食材を地域の人とシェアする「シェア冷蔵庫」などの導入も食品ロスの削減に貢献します。

⑥シェアリングエコノミーを活用する

モノの生産・運搬・廃棄の過程においても二酸化炭素の排出が発生するため、シェアリングサービスの活用は脱炭素に繋がります。

廃棄されてしまう食品をお得に買える「フードシェア」や、自転車を共有する「シェアサイクル」などの利用も有効な取り組みです。

シェアリングエコノミーにおすすめのサービス2選(2025年12月現在)

自転車

シェアリングエコノミーは、モノやサービスを共有することで、製造・輸送・廃棄に伴う二酸化炭素の排出量を抑え、脱炭素社会の実現に貢献する取り組みです。ここでは、食品ロス削減と移動手段の脱炭素化に繋がる個人向けのおすすめのサービスを2つ紹介します。

TABETE

TABETEはホテルや飲食店、パン屋やケーキ店などで食品ロスがでそうなときに、フードシェアリングするアプリです。まだ美味しく食べられるにもかかわらず廃棄の可能性がある食品と利用者をマッチングすることで、食品ロス削減に繋がります。

23区付近を中心に各都市圏の店舗が掲載されており、商品の購入時のみ商品代金が発生するため、登録料や月額料金などは無料で利用可能です。

HELLO CYCLING

HELLO CYCLINGは、東京を中心に全国で利用できるシェアサイクリングサービスです。1つのアカウントで全国の自転車・ステーションが利用できます。スマホアプリから即時予約でき、好きな場所から利用できるのも魅力です。ICカードを登録することで、アプリ操作なしで自転車を解錠できます。

脱炭素は身近なことから取り組んでみましょう

エコ ボトル

地球温暖化対策にも繫がる脱炭素は、社会全体で取り組むことが大切です。そのため、企業や自治体だけでなく、個人でも節電やマイバッグなど、取り組みやすい身近なことから始めてみましょう。

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