ギグエコノミーとは?

新しい働き方として昨今注目されているギグエコノミーですが、働き方を詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。そこでまずは、ギグエコノミーの概要について解説します。

 

単発の仕事を受注する働き方のこと

ギグエコノミーは特定の企業・組織と雇用関係を結ばずに労働者が個人的に仕事を受注し、空き時間を活用して働くスタイルです。ギグエコノミーを活用している労働者は、「ギグワーカー」と呼ばれます。フリーランスやスキル系シェアリングエコノミーサービスの提供者と同様に、単発または短期の仕事を請け負うことがほとんどです。

ギグエコノミーはデザインやコンサルティング業務などといった、高度な専門知識や技術が必要な分野だけではありません。昨今は簡単に実践できる配達・配送など、日本国内でもさまざまな分野において導入され始めています。

 

自身が持つスキルを売り物とするのがサービスの基本

ギグエコノミーを主体としたサービスでは、基本的に自身のスキル・能力を商品としてクライアントに売り込む必要があります。サイトやアプリにスキルや個人情報を掲載したら、スキルを必要とする企業と契約を交わし、業務を行うのが基本的な仕組みです。そのため、これまでの経験・知識がそのまま業務や収入へつながります。

また、サイトやアプリによって、扱っている仕事のカテゴリーやギグワーカーに必要とされるレベルなどが少しずつ異なります。自身が売り込みたいスキルや挑戦したい仕事の分野を明確にしたうえで、さまざまなサイトやアプリを活用することが肝要です。

 

拡大した背景には働き方の価値観の変化がある

ギグエコノミーが日本で拡大した要因は、女性の社会進出や生産年齢人口の減少などによる労働者のニーズの多様化が考えられます。育児や介護などのライフイベントとの両立ややりがい、スキルアップなど、仕事に求めるものは労働者によって異なります。

一人ひとりの状況や今後の人生設計に合わせて、活躍する場所や時間を労働者自身が自由に決められるのがギグエコノミーです。ライフスタイルの選択肢が増え転職が当たり前となった現代の日本において、ギグエコノミーは拡大しやすかったと考えられます。

 

ギグエコノミーとワークシェアリング・フリーランスとの違いは?

ギグエコノミーには、ワークシェアリングやフリーランスなどの似た言葉があります。ここでは、ギグエコノミーとワークシェアリング・フリーランスとの違いについて解説します。

 

ワークシェアリングとの違いは「企業視点・労働者視点のどちらか」

ワークシェアリングは労働者同士で雇用を分け合うシステムで、過労死や経済悪化による失業を防ぐために導入するものです。1人で行っていた仕事を複数人で担当することで、働く時間を短縮したり労働者1人あたりの負担を軽減したりできます。

仕事の一部分を複数人の労働者が請け負う点はギグエコノミーと似ていますが、誰が行うかという視点が異なります。ギグエコノミーは、自分のライフスタイルに合わせて働きたい労働者が行う働き方です。一方ワークシェアリングは、社内環境を改善するために企業が行うものになります。

 

フリーランスとの違いは「担当する仕事の範囲」

ギグエコノミーとフリーランスは時間に縛られず自由に働けますが、仕事の範囲が異なります。業務の一部分を担当するギグエコノミーに対し、フリーランスは1つのプロジェクトを完遂させるまでが基本的な業務スタイルです。担当する仕事の範囲だけでなく、プロジェクト全体に携わるフリーランスの方が業務時間が長くなる点に違いがあります。

 

ギグエコノミーのメリットとは?

現代の仕事に対する価値観に合う新しい働き方として拡大しつつあるギグエコノミーには、さまざまなメリットがあります。ここでは、ギグエコノミーが持つ多彩なメリットについて詳しく解説します。

 

自由な時間・スケジュールで仕事ができる

ギグエコノミーの働き方では、会社員のように決まった業務時間がありません。そのため、スケジュールや体調などに合わせて自由な時間の使い方ができるメリットがあります。空き時間を活用して副業をしたり、子育てや介護が両立できるように在宅で仕事をしたりなど、勤務時間や場所も変えられます。

 

自分が持つスキル・好きな分野で活躍できる

企業と雇用関係にある会社員では、たとえやりたくないと感じる業務であっても携わらなければいけない場合もあります。また、自身のこれまでの実績や現在の評価が明確になっていないことも少なくありません。

その点ギグエコノミーでは、労働者側が挑戦したい分野・仕事内容で始められます。これには、自分のスキルや好きな仕事で活躍できるというメリットがあります。ギグワーカー自身のスキルや成果が収入につながるうえ、業務終了後はクライアントから直接評価してもらえます。自分の実力・スキルレベルをより明確にできる点が、魅力といえるでしょう。

 

企業側は人件費の削減・即戦力の確保につながる

ギグエコノミーによる企業とギグワーカーの契約は、基本的に「業務委託」となります。企業側は人材を雇用する必要がないため、採用・育成・福利厚生などの人件費を抑えられるメリットがあります。特定の専門スキルを扱うギグエコノミーのサイト・アプリの場合は、必要な知識や技術を持つ外部の人材に仕事の依頼が可能です。

 

ギグエコノミーのデメリット・問題点とは?

新しい働き方であるギグエコノミーは、ほかの働き方ではなかったデメリットや問題点に注意する必要があります。ここでは、ギグエコノミーのデメリットと問題点について詳しく紹介します。

 

定まった給料が保障されていない

企業に雇用される会社員やアルバイトなどの場合、定まった給料が保障されています。しかし、ギグワーカーはフリーランスと同じ、個人事業主という位置づけです。そのため、仕事をこなせばこなすほど給料アップが見込めますが、依頼が全くない場合は収入がゼロになることもあります。

またギグワーカーは、確定申告や帳簿付けなどといった実際の仕事とは別の経理業務や雑務に時間を割く必要があります。場合によっては拘束時間の長さや手間の多さに対して、収入が見合わないと感じることも少なくありません。

 

労働者側が権利・保護を主張しにくい

ギグワーカーは雇用契約ではなく、クライアントとなる企業と「業務委託」契約を結ぶのが基本です。そのため、社会保険の加入や有給休暇の取得などといった、労働法上の権利や保護を主張しにくいというデメリットがあります。

また、ギグエコノミーでは契約内容が曖昧なまま提示・締結されていることも多いため、万が一のリスク管理が重要です。業務中の病気やケガは自己責任になり、業務中のトラブルもギグワーカー自身で対応しなくてはいけません。

 

競争化によって格差が発生する可能性もある

ギグエコノミーに基づいた働き方は、今やさまざまなプラットフォームを通して実践が可能です。しかし、スキルの高い人材に報酬の高い依頼が集中しやすく、未経験者・スキルの低い人には依頼が少ない傾向にあります。そのため、同じギグワーカーであっても、報酬単価や収入に大きな格差が出てくるというデメリットも考慮しなければいけません。

さらに、ギグワーカーの人口増加に伴い、ワーカー同士の仕事の奪い合いが起こりやすいという問題点もあります。ギグワーカーとして働く際には常に自身が活躍する業種・業界の流行をチェックし、更なるスキルアップを続ける努力が必要です。

 

ギグエコノミーに関するサービスを紹介!(2022年2月末現在)

ここからは、ギグエコノミーを取り入れた働き方に挑戦できる身近なサービス・サイトを紹介します。

 

クラウドワークス

「クラウドワークス」は、シェアリングエコノミーの観点でも注目されているクラウドソーシングサイトです。システム開発やデザイン、ライティングなど、ビジネス分野のスキルを活かした依頼が中心です。オンライン講座の「みんなのカレッジ」をはじめ、未経験でも必要なスキルを学べるシステムが備わっています。そのため、ギグワーカーとして活動し始めた初心者にもおすすめのクラウドソーシングサイトといえます。

 

ギグワークスベーシック

「ギグワークスベーシック」は、多彩なライフスタイルや人生のステージに合わせた働き方を提供する、ギグエコノミーのプラットフォームサイトです。マネジメントなどの専門的なスキルを要するものから、データ入力のような単純作業まで、幅広い分野の依頼を掲載しています。

 

ギグベース

「ギグベース」は、自身のスキルや経験を出品・共有するというシェアリングエコノミーの観点も取り入れたクラウドソーシングアプリです。ワーカーと企業が1時間単位でマッチング・契約が可能です。また、ギグベースが提供するオンラインジョブトレーニングで、業務に必要な知識やスキルを習得できるようになっているので、スキマ時間を活用したギグエコノミーの実践にもおすすめです。

 

ギグエコノミーの今後・将来性は?

ここでは、ギグエコノミーの今後や将来性について考えていきます。

 

ギグエコノミ-に関する法整備が注目されていく

ギグエコノミーは収入や保障が不安定であったり、契約内容が不明瞭でも主張しにくかったりなどの点が問題視されています。類似の問題を抱えていたフリーランスの場合は、厚生労働省が事業者とフリーランスの取引を明確化するために、2021年3月26日に「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定し、環境整備を進めています。

また、契約上・業務上のトラブルについてフリーランスや個人事業主が弁護士に相談できる窓口「フリーランス・トラブル110番」を設置しています。

ギグエコノミーにおいても今後のワーカー人口増加に伴い、フリーランスの展開と同じような法整備の拡大・保障の見直しなどが行われていくことでしょう。

 

プラットフォームが多様化していく

さまざまな業界・業種において、人材不足が問題視されています。よりコストを抑えつつ優秀な人材を確保できるギグエコノミーの存在は、今後さらに注目されていくことが予測できます。次々と新しいアプリ・プラットフォームが登場していくことで、ギグワーカーの活躍の場はさらに拡大していくことでしょう。

 

ギグエコノミーを活用して自分に合った働き方をしよう

ギグエコノミーは仕事に対する価値観・考え方の変化に伴い、高い注目を集めるようになりました。より労働者が自分らしく働ける環境を整備するうえで、重要な要素になるでしょう。ぜひギグエコノミーを通して、自分に合った働き方を考えてみてください。

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