クラウドファンディングってなに?

「クラウドファンディング(クラファン)」とは、「群集(Crowd)」と「資金調達(Founding)」を組み合わせた造語で、インターネット上で不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、サービスや商品の趣旨・個人の想いに共感した人から資金を集める方法です。資金を集めたい人は"プロジェクト"を立ち上げて起案者となり、そのプロジェクトに賛同・共感した人が"支援者"として資金を出資します。

支援者は、クラファンサイトから賛同・共感するプロジェクトを見つけ、サイトのシステムを通して起案者に資金を提供します。起案者は、資金提供のお礼に、その商品やサービスの一部やお礼の気持ちを"リターン"として支援者に提供します。

クラウドファンディングの仕組みを利用して応援したいプロジェクトにお金を出資することは、共通の目的を持った人が集まり資金を出し合いシェアすることに似ています。例えば最近はYouTubeのスーパーチャットなど、応援している動画配信者に投げ銭(説明)をして、ファン個人が応援する方法も珍しくなくなってきました。

これまで、このような資金調達方法は直接知り合って会話ができる範囲の人たちの間に限られていました。しかし、インターネットが普及し、様々な仕組みが整ったことで、今や距離を超えて、全国から似た考えを持った人たちが集まり協力しあい、プロジェクトを成功させることができるようになりました。

クラウドファンディングの支援形態のうち代表的な3種類を紹介

クラウドファンディングには様々な形の支援形態があります。その中でも代表的なものを3つご紹介します。

具体例① 購入型

支援した金額に応じて、商品やサービスをリターンとして受け取れる形式のクラウドファンディングです。商品の開発や生産に必要な費用を事前に支援者から集め、受注販売のような形でリターンを提供します。

プロジェクト起案者にとっては、新たなアイディアや商品の需要を調査できる点にメリットがあります。出資者にとっては、まだ世間に出回っていない最先端のアイディア製品を、一足早く、かつリーズナブルに試すことができるという利点があります。また、製品を使用した感想をプロジェクト起案者にフィードバックすることで製品のブラッシュアップに参加できるという点も、魅力の一つでしょう。

例えば、アメリカのLeMore社が開発する、PC・スマートフォン・タブレットなど情報端末機器専用スタンドのブランドであるMOFTは、開発・製品化したプロダクトを購入型クラウドファンディングにて先行発表する形式をとっており、プロジェクトの出資者にとっては、のちに一般販売される新製品を世間より一足早く試すことができます。

スマホやPCに貼り付ける折りたたみ式スタンドなど、ありそうでなかった画期的なアイディアを形にする同社のクラウドファンディングは、まだ正式販売されていない新製品を予定定価よりもリーズナブルに手に入れることができるため、毎回多くの支援者が集まり、感想などのフィードバックが行われています。

MOFTの場合、クラウドファンディングで発表され一定の支援を得た製品は、ブラッシュアップののち、その後正式に製品化され、AmazonなどのECサイトでも購入できるようになることが多いです。開発段階に予約販売という形式で世間のニーズを調査できる購入型クラウドファンディングは、マーケティング手法の一つとして起案者にとっても大きなメリットがあるだけでなく、出資者も「商品作りに参加できる」という他では得られない価値を感じることができると言えます。

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具体例② 寄付型

寄付型は、支援者がプロジェクトに対してお金を寄付する仕組みのクラウドファンディングです。お礼の手紙などが受け取れる場合もありますが、基本的には金銭、モノ、サービスなどのリターンはありません。寄付型のクラウドファンディングは、災害支援やボランティア活動への寄付などのプロジェクトが多い傾向にあります。

京都祇園祭山鉾行事を執り行う公益財団法人祇園祭山鉾連合会が立ち上げたプロジェクトである【コロナからの復活を目指して2023年『京都祇園祭山鉾行事』サポーター募集】は、2023年5月に実施された寄付型クラウドファンディングの一つです。

京都祇園祭山鉾行事は、コロナの流行で祭りの規模縮小を余儀なくされていましたが、コロナも落ち着いた令和5年、規模を戻して例年通りの祭りを行うことが決定し、4年振りのコロナ禍から完全復活を目指した祭を一目見ようという需要が高まり、例年以上の来場者が訪れる事が予想されました。そこで、例年通り実施する祭の安全を確保するための資金調達の目的で立ち上がったのが、このプロジェクトでした。

リターンには、寄付型には珍しく、祇園祭巡行特別観覧会への参加券が得られたり、無病息災の願いをこめた厄除け「粽(ちまき)」がいただけたり、祇園祭特製の今日うちわや手拭いがいただけたり、と、金額に応じてここでしか得られない特別な体験や品物を得ることができるようなラインナップが並びます。

日本の伝統行事の一つである祇園祭ですが、これまでは「一部の人たちが主催して実施する祭りを観に行く」という構図だったのに対して、クラウドファンディングという仕組みによって、皆の応援で作り上げていくお祭りへとその意義をアップデートさせたといえます。

「祇園祭を後世に残したい」という目的に賛同した人たちの出資によって応援の気持ちが形になり、最終的に、このクラウドファンディングは目標金額を大幅に達成し、7月17日に京都祇園祭山鉾行事が無事終了したことが、活動レポートにて報告されています。

【寄附型】コロナから復活を目指して2023年『京都祇園祭山鉾行事』サポーター募集

また、アスリートの活動を直接支援できる「アスリート専門クラウドファンディング」というものもあります。

ALLEZ!JAPANをはじめとするアスリート専用のクラウドファンディングサイトでは、アスリートがそれぞれプロジェクトを立ち上げ、それに支援する形で、サポーター個人がアスリートに資金提供することができます。

これまで、プロアスリートが遠征や試合参加などを継続的に行っていくためには、企業とのスポンサーをして資金提供を得る必要がありましたが、このような仕組みによって、企業ではない一個人も、応援するアスリートに直接応援の気持ちを届けることができるようになりました。

ALLEZ!JAPAN

具体例③ ふるさと納税型

自治体が解決したい課題をプロジェクト化して、寄付を集めるタイプのクラウドファンディングです。クラウドファンディング形式を取らないふるさと納税と比べると、目的やお金の使い道が明確なのが特徴です。プロジェクトによっては返礼品がリターンとして用意されています。

所得税や住民税が一部軽減できるだけでなく、自分が賛同したプロジェクトに直接出資して応援することができる点にメリットがあります。プロジェクトによっては返礼品がリターンとして用意されています。

大阪府高槻市がCAMPFIREにて立ち上げた【関西将棋会館建設プロジェクト】も、ふるさと納税型クラウドファンディングの一つです。

現在、大阪府大阪市福島区にある関西将棋会館は、誘致提案を受け入れる形で、令和3年2月に大阪府高槻市への移転の合意書を締結しました。それに伴う様々な取り組みのうちの一つとして高槻市が行っているのが、関西将棋会館建設支援となるこのプロジェクトです。

こちらは、プロジェクトへの支援金額がふるさと納税制度(個人)による税制控除の対象となるだけでなく、支援金額に応じたリターンを受け取ることもできます。リターンの中には、記念グッズや直筆サイン入りの色紙から著名なプロ棋士と実際に対局できる権利まで、様々なものが準備されています。

藤井聡太八冠の誕生によって盛り上がりを見せる将棋界ですが、関西将棋会館が新規移設されることによって、設備が拡充されたりファンが利用できるスペースが新規設置されたりと、将棋を応援する人たちにとっても嬉しい内容も発表されています。日本の伝統文化を皆の応援で後世に残していけるという意味でも、将棋ファンにとっては出資するメリットが大きいプロジェクトではないでしょうか。

伝統文化「将棋」をみんなの「チカラ」で次の世代に!関西将棋会館建設プロジェクト

クラウドファンディングのメリット

次に、クラウドファンディングが支援者にもたらすメリットを3つ、ご紹介します。

メリット① 満足度の高い出資ができる

企画者の想いに共感し、「応援したい」と感じた人や、プロジェクトに対して直接出資をすることができます。また、普通の寄付とは違い、より具体的な資金の使い道・活用方法が示されるので、「何に対して出資したのか」がわかりやすいことも特徴です。

メリット② 魅力的なリターンを期待できる

購入型のプロジェクトでは、支援することで魅力的なリターンを得ることができるのもメリットの一つです。まだ世に出回っていない商品をいち早く試すことができたり、予想定価よりも割安で手に入れることができることもあります。

メリット③ プロジェクトを通じてたくさんの社会と繋がることができる

「支援する」「応援する」という形で、社会的に意義のあるプロジェクトや、普段接点を持つことができないプロジェクトに携わることができます。これまでは、自分と同じ考えに賛同しても具体的に応援する方法が見つけにくかったことを考えると、資金提供という具体的な方法で支援・応援の気持ちを示すことができるのは、クラウドファンディングというプラットフォームができたからこそではないでしょうか。

クラウドファンディングの注意点

このように、支援することでメリットを得られるクラウドファンディングですが、もちろん注意点も存在します。私たちがクラウドファンディングに支援をする際に念頭においておきたい、注意点を3つご説明します。

注意点① プロジェクトが実行されない可能性がある

クラウドファンディングは、出資金に対して保証があるわけではありません。プロジェクトが実行されなかったり、リターンとして提示されていた商品やサービスが受け取れなかったりしても、必ずお金が返ってくるというわけではありません。

万が一ではありますが、起案者の状況によっては、出資した資金も返金しないままにプロジェクトが最後まで実施されない可能性もあるので、この点は十分考慮して、それでも支援するかの判断をする必要があります。

注意点② 一度支援したら基本的にキャンセルできない

基本的には、一度支援するとキャンセルはできません。プロジェクトページには起案者の考えや想いだけでなく、活動報告や出資者からの応援メッセージも記載されていますので、熟読の上、支援するプロジェクトをよく検討するのが良いでしょう。

クラウドファンディングを使って応援の気持ちを届けよう

賛同・共感できるプロジェクトに支援して、応援の気持ちを届けることができる、クラウドファンディング。注意点はあるものの、起案者の想いに"共感"して直接支援できる点が、大きな魅力の一つです。自分が資金提供することで、共感した想いが形になる手助けができるという点は、現代の新しい「応援」の形であると言えるのではないでしょうか 。

支援者として関わることで、プロジェクトを通して社会的意義のある事業を応援でき、満足度の高い出資をすることができるだけでなく、魅力的 なリターンを得ることもできるこの仕組みは、応援する側・される側の双方にとってメリットが大きいものです。

あなたも、ご自身が賛同・共感できるクラウドファンディングを支援して、世の中をよくする面白いアイディアを応援してみてはいかがでしょうか。

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