訪問介護サービスとは?
まずは、訪問介護サービスとはどんなサービスなのかを詳しく解説します。
ワークシェリングサービスの一つ
訪問介護サービスは、介護保険制度を利用したい人と介護事業者をマッチングするワークシェアリングサービスの一つです。日常生活するうえで助けが必要な活動だけを選択し、介護を受けられます。
自宅で介護サービスが受けられる
訪問介護サービスは、介護保険制度のなかの在宅系サービスになります。自宅で日常生活を送りながら、介護を受けられるサービスです。要介護や要支援の高齢者が、自立した生活を送るためのサポートを目的としています。
訪問介護サービスで来てくれる人は?
訪問介護サービスを利用した場合、自宅にどのような人が来るのでしょうか。実際に訪問介護をしてくれる人について紹介するので、参考にしてみてください。
介護職員初任者研修修了者
「介護職員初任者研修修了者」とは、介護に関する130時間の研修カリキュラムを修了し、修了証明書の交付を受けた人材です。介護に関する業務全般が行えるようになり、訪問ヘルパーとして介護者の自宅で働くことができます。
実務者研修修了者
「実務者研修修了者」とは、より質の高いサービスを提供するために450時間(介護職員初任者研修130時間含む)の研修を修了した人材です。介護福祉士の資格を取得するための受験要件の一つになっています。介護に関する業務全般を行えるだけでなく、サービス提供責任者になることも可能です。
介護福祉士
「介護福祉士」は専門的知識と技術を持ち、国家資格を取得した人材です。身体や精神上の障害があることで、日常生活を営むのに支障がある人の状況に応じた介護を行います。並びに、介護に関する指導を行うのも介護福祉士の仕事です。
訪問介護サービスの基本内容
訪問介護サービスには、「身体介護」「生活援助」「通院時の乗車・降車介助」などがあります。それぞれのサービスの基本内容を詳しく解説するので、チェックしておきましょう。
身体介護
訪問介護サービスの「身体介護」とは、利用者の体に直接触れて行うサービスをいいます。利用者の自立を支援するとともに、重度化を防止するために行う介護の基本内容です。ホームヘルパーは、専門知識や技術を活用してサービスを行います。
身体介護の例は、以下のとおりです。
- 食事介助
- 排せつ介助
- 入浴介助
- 体位変換
- 歩行介助
- 起床および就寝介助
- 服薬介助
- 生活支援・重度化防止のための見守り的援助
身体介護の例
生活援助
訪問介護サービスの「生活援助」とは、高齢者本人や家族が日常生活に必要な家事を行えない場合、ホームヘルパーが援助することです。利用者によって、ライフスタイルが異なります。そのため、それぞれに合わせた生活援助を行い日常生活をスムーズに送れるようにすることが、介護の基本内容になっています。
生活援助の例は、以下のとおりです。
- 掃除
- 洗濯
- ベッドメイク
- 衣類の整理・被服の補修
- 一般的な調理
- 買物・薬の受け取り
生活援助の例
通院時の乗車・降車の介助
訪問介護サービスには、「通院時の乗車・降車の介助」もあります。介護タクシーと呼ばれ、利用者が通院する際に、ホームヘルパーが乗車・降車の介助を行います。通院時の屋内外における移動介助や受診の手続きなども、訪問介護の基本のサービスです。ただし、移動にかかる交通費は介護保険の対象ではありません。
訪問介護サービスの利用条件
訪問介護サービスの基本の内容がわかったところで、次に気になるのは利用条件です。どのような状態のときに利用可能な条件なのかを解説します。
要介護1~5の認定を受けている
訪問介護サービスは、65歳以上の「要介護1~5」の認定を受けている人が対象となっています。「要介護1~5」とは、日常生活を送るために介助を必要とする状態のことです。また、40歳以上65歳未満の医療保険加入者は、老化に起因する疾病による要介護のみ訪問介護サービスの対象となります。
要支援1または2の人は介護予防サービスの対象
「要支援1」または「要支援2」の認定を受けた人は、介護予防サービスの対象になります。要介護にならないように予防のため、見守りの要素が強いサービスです。利用者の心身の状態に応じて、介護予防サービスの利用計画を作成してもらえます。
訪問介護サービスの費用
訪問介護サービスを受ける際は、かかる費用も気になるところです。以下で、訪問介護サービスの基本的な費用の考え方を説明します。
サービスの種類と利用時間で異なる
訪問介護サービスの費用は、基本的にサービスの種類と利用時間によって異なります。介護保険法によって規定された「介護報酬」という形です。介護報酬は全国共通の単位数となり、1単位あたりの金額は地域で異なります。基準は「1単位=10円」で、最高は11.4円です。「単位数×1単位あたりの金額」で、実際の費用が求められます。
| 種類 | 時間 | 介護報酬単位 |
| 身体介護 | 20分未満 | 167単位 |
| 20分以上30分未満 | 250単位 | |
| 30分以上1時間未満 | 396単位 | |
| 1時間以上 | 579単位(+30分ごとに84単位を加算) | |
| 生活援助 | 20分以上45分未満 | 183単位 |
| 45分以上 | 225単位 | |
| 通院等乗降介助 | 99単位 |
自己負担額は原則1割
訪問介護サービスの自己負担額は、原則1割になっています。本人の所得金額が合計で160万円未満、または本人の年金収入に加えそのほかの合計が280万円未満であれば1割負担の対象です。ただし、収入や世帯構成によっては2~3割となる場合もあります。
訪問介護サービスで利用できるサービスの量は、要介護度別で定められています。訪問介護サービスを利用した1か月の費用が限度額を超えると、超過分は全額自己負担になるので注意が必要です。
| 要支援1 | 50,030円 |
| 要支援2 | 104,730円 |
| 要介護1 | 166,920円 |
| 要介護2 | 196,160円 |
| 要介護3 | 269,310円 |
| 要介護4 | 308,060円 |
| 要介護5 | 360,650円 |
訪問介護サービスを受ける流れ
ここからは、サービス利用までの基本的な流れを説明します。訪問介護サービスの利用を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
要介護認定の申請
訪問介護サービスを利用するためには、「要介護認定の申請」が必要です。住んでいる市町村の担当窓口で、要介護認定申請書に記入のうえ申請します。申請は原則本人が行いますが、家族や地域包括支援センターによる代行も可能です。
必要書類は以下のとおりです。
- 介護保険被保険者証
- 40歳以上65歳未満の人(第2被保険者)の場合は、医療保険証
必要書類
調査認定・主治医意見書
要介護認定の申請後は市区町村等の調査員が訪問し、心身の状態を確認するための聞き取り調査(認定調査)を行います。また、市区町村等の依頼により、かかりつけの医師が心身の状態について意見書を作成します。主治医がいない場合には、市区町村等の指定医による診察が必要です。
その後は、認定調査結果や主治医意見書などに基づいたコンピュータによる全国一律の方法で、要介護度の一時判定が行われます。一時判定結果と主治医意見書に基づく介護認定審査会の二次判定を経て、市区町村等による要介護度が決定されます。
介護認定の通知
要介護認定申請を申し込んだ日から30日以内に、市区町村等から利用する本人宛てに介護認定の通知が郵送されます。認定は「要支援1・2」から「要介護1~5」までの7段階、および「非該当」です。認定された要介護状態区分は、申請日にさかのぼって効力が発生します。
要介護認定には有効期間があり、それを過ぎると訪問介護サービスが利用できなくなるため注意しなければなりません。有効期間が満了するまでに、認定の更新申請が必要です。ただし、身体状態の変化があった場合は、有効期間の途中であっても要介護認定の変更の申請ができます。
要介護状態区分は、以下のとおりです。
- 要支援1・2
- 要介護1~5
- 非該当
要介護状態区分
また、認定の有効期間は以下のとおりです。
- 新規・変更申請:原則6か月(状態に応じて3~12ヶ月まで設定)
- 更新申請:原則12か月(状態に応じて3~24か月まで設定)
認定の有効期間
介護支援専門員の決定・ケアプラン作成
「要介護1」以上に認定され要介護の対象になった場合には、県知事の指定を受けた「居宅介護支援事業者」に依頼します。介護支援専門員(ケアマネージャー)を選任し、面談を行ったうえでケアプランを作成する形です。介護支援専門員は、利用者本人や家族の意向で変更できます。「要支援1」または「要支援2」に認定された場合には地域包括支援センターに相談し、介護予防サービス計画書を作成しましょう。
事業者の選定と契約
介護支援専門員の作成したケアプランに基づき、事業者の選定や契約を行います。介護保険を利用できるのは、都道府県知事に申請して指定を受けた事業者のみです。介護サービスを申し込む際に、指定を受けていることをきちんと確認してから選びましょう。
訪問介護サービスを紹介
介護保険を利用した訪問介護サービスより、手軽に困ったときだけ利用したい人は、シェアリングエコノミー型がおすすめです。利用条件が少なく、介護保険の対象外の要望にも応えてくれるサービスを紹介するので参考にしてみてください。
Crowd Care(クラウドケア)
「Crowd Care」は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で、訪問介護や家事、生活支援のサービスを介護保険外で行っています。介護保険の条件に対応していないサービスや時間などでも、要望に応じてくれるのが利点です。例えば、病院内の付き添いや見守り介助、家族の家事の手伝いなども利用できます。都合に応じたプランを立てられるので、必要なときだけ訪問介護サービスを利用できて便利です。
イチロウ
「イチロウ」は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で、原則介護保険ではできないサービスの依頼も引き受けてくれるサービスです。要介護度の条件はなく、自宅での長時間の介助や病院内での介助にも対応してくれます。採用率8%という厳しい条件をクリアしたヘルパーが在籍し、あらゆる介護や生活支援に24時間サポート可能です。
在宅介護やさしい手
「在宅介護やさしい手」は、東京都を中心に全国に展開している介護サービスです。介護保険適用のサービスに加え、介護保険ではできない要望にも応えてくれます。例えば、家事代行や家政婦紹介などです。さらに、在宅生活支援サービスでは社会福祉士が相談員として月1回自宅に訪問し、計画的に支援してくれます。
訪問介護サービスの事業者の選び方
訪問介護サービスは、たくさんの事業者のなかから利用者に合ったものを選ぶことが大切です。そこで以下では、事業者の選び方を紹介します。
サービス内容や費用について明確な説明がある
訪問介護サービスは、ケアプランに合った内容を提供している事業者を選びましょう。事業者によってサービス内容は異なるため、事前に確認が必要です。サービス内容の変更などにも柔軟な対応ができるかどうかもポイントになります。
また、介護保険が適用されるサービス以外に、介護保険ではできないことに対応しているサービスがあります。例えば、外出時の付き添いや家族への食事提供などです。保険外のサービスについては、事業者によって扱いが異なります。かかる費用は全額負担になることが多いため、利用を考えている人は介護支援専門員と相談しながらプランを立てましょう。
複数の事業者を比較する
訪問介護サービスの事業者は、全国にたくさんあります。事業所の規模や従業者の人数、評価なども気になるところです。厚生労働省のホームページでは、全国の介護事業所を検索できるシステムがあります。比較検討する際に、活用してみてください。
適切なサービスが実施されているか確認する
訪問介護サービスを受ける際には、事業者が適切なサービスを実施しているか確認することが大切です。介護保険法に基づき、介護保険を利用できるサービスが同じく厚生労働省から公表されているため参考にしましょう。
訪問介護サービスの押さえておきたい注意点
訪問介護サービスを利用する際は、注意しなければならないこともあります。訪問介護の基本の内容ではできないこともあるため、事前にチェックしておきましょう。
家政婦やお手伝いとは異なる
訪問介護サービスは要介護の認定を受けた利用者が、日常生活をスムーズに行えるようにサポートすることを目的としています。庭の草むしりやペットの世話、窓のガラス磨きなどは、日常生活の援助のサービス範囲を超える行為です。訪問介護サービスでは、できない行為ですので注意しましょう。
医療行為はできない
訪問介護サービスで、医療行為はできない決まりになっています。医療行為ができるのは、医師や看護職員のみです。ただし、たんの吸引に関しては、利用者が家族以外に依頼し、ヘルパーが同意するなどの一定の条件下であれば実施を容認しています。
本人以外に対する行為は行わない
訪問介護サービスは、認定された利用者のみに行います。家族のための家事や来客への対応などは、直接利用者の援助に該当しないサービスです。利用者以外へのサービスは受けられないので、注意しましょう。
1日2回以上利用する場合は間隔を2時間以上空ける
訪問介護サービスを1日に2回以上利用する場合、間隔を2時間以上空けるようにします。2時間以内の利用については、1回の利用とみなされ合算されてしまうからです。例えば、20分未満のサービスを2回受けた場合、167単位×2回となります。2時間以内だと、30分以上1時間未満なので、396単位になってしまうので注意しましょう。
状況に合わせて訪問介護サービスを選びましょう
訪問介護サービスは、利用者の身体状況に合わせたプランを立てられるサービスです。必要なものと不要なものを選択し、自分に合わせたプランを立てることが大切になります。介護保険内と介護保険外を上手に組み合わせ、適切な事業者とサービスを利用しましょう。
※介護報酬等は2022年5月現在の法令等に基づいて記載しています。今後の改正等により変更となる可能性があります。
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