一般的な終活の目的とは?

終活とは「人生の終わりについて考える活動」の略で、人生の最期に向けて準備をする活動のことを言います。2009年頃から終活に関する書籍の出版・映画の公開、ユーキャン新語・流行語大賞でのランクインなどをきっかけに社会に浸透しました。 

終活は周囲の負担を軽減するのが目的

終活では家族など周囲の人に迷惑をかけずに人生を終えるため、身辺の整理、お墓やお葬式の準備、相続の計画などを行います。人生最後の計画や選択も自身で責任を負うことで、残す家族の負担を少しでも軽減するのが目的です。

一方、周囲への配慮という目的以外にも、人生を振り返りながら自分を見つめなおす手段としても注目されています。今までの人生をこれからにつなげるため、自分を客観視しながら「死」と向き合うことは貴重な機会だと言えるでしょう。

また、時代や年代によって死生観への考え方は変化しており、その変化は終活の在り方や目的にも強く表れています。 

なぜ終活が注目されるのか?少子高齢化が背景に

書籍の出版や映画の公開により一気に注目されるようになった終活ですが、少子高齢化や団塊の世代が老後を考える時期に差し掛かったこともその背景の一つと考えられます。

第一次ベビーブーム時に生まれた団塊の世代が定年に差し掛かったことで、必然的に終活を考える人口も増え、社会全体に終活が広がるきっかけになったと言えるでしょう。

日本の高齢化が進み、「終活」という概念がより浸透していきました。 

終活の3つのメリット

さまざまな目的で行われる終活ですが、そのメリットは主に以下の3つが挙げられます。

    終活のメリット

  • 周りの人が心構えをすることができる
  • 自身の心構えができる
  • 死後や老後のトラブルが回避できる

老後を考える上で介護や死は切っても切れません。

とはいえ、介護や死の話題は気持ちが進まない人も多いでしょう。そこで終活により老後や死後の準備をすることで、周りの人や自分自身の心構えができ前向きに考えられるようになります。

また、事前に話し合い遺言書を残すことで、遺産相続のトラブルも回避できます。 

一人ひとりに合わせた人生の締めくくりに注目が集まる

これまでの終活は家族や親せきなど血縁のある人との関係性が強く反映されていましたが、時代の流れと共に自分らしい終活を模索する人も増えてきました。

そこには死や血縁に対する価値観の変化が背景にあります。

もともとお墓は先祖代々でシェアすることが多いものですが、時代と共にその概念も変わってきています。 

家族以外の方とお墓に入るという選択お墓の多様化

従来の日本のお墓は先祖代々引き継がれ、供養についても世代をまたいで墓を守っていく文化がありました。

しかし近年では、墓守が世代から世代へ引き継がれるのではなく、寺院が管理・供養する「永代供養墓」が増えています。今までは先祖代々が引き継いできたお墓に入るというスタイルでしたが、個人墓・夫婦墓・共同墓などお墓のスタイルも多様化しています。 

自分らしい遺骨・納骨のスタイルが出現

お墓に納骨することが多いですが、遺骨や納骨の概念も少しずつ変化しています。例えば、海や山に散骨したり樹木の下に遺骨を埋葬する自然葬など、自身の希望によって埋葬する場所を選択する人も増えています。

また、陶器が主流の骨壺も、ガラスや金属製の材質を利用するなど固定観念に囚われないスタイルも広がっています。 

葬儀の多様化

戦前の日本では二世代三世代と大人数の家族が主流だったため、世代から世代へ受け継ぐ「しきたり」を重んじる葬儀も多く見られました。

しかし近年の核家族化により葬儀の概念も変化し、血縁よりも「個」を象徴する自分らしい葬儀を行う人が増えています。

親せき一同が参列するような大規模な葬儀ではなく「家族葬」「一日葬」「直葬」など、さまざまな形の葬儀が登場しました。

また葬儀が多様化する要因の一つとして宗教心の希薄化も考えられ、今の状況を加速させたと言えるでしょう。 

実例紹介①「墓友」という選択

人々の価値観と共に変化する終活ですが、ここからは新しい終活の実例を紹介します。

さまざまな種類のお墓がある中で「墓友」といった、血縁や宗教上のつながりのない人とお墓をシェアするスタイルも登場しました。

お墓に関する課題の一つにお墓の継承者問題がありますが、その解決策の一つとして注目されているのが永代供養です。永代供養は血縁者の中にお墓を継承する人がいなくても寺院などが供養してくれるサービスで、その永代供養が派生する形で墓友が誕生しました。

新しい概念の墓友ですが一般的には、同じお墓の中に入る人同士のことを表します。身寄りのいない人、家族との関係が希薄な人、家族の他に大切な人がいる人を中心に、墓友の概念が少しずつ広がりを見せているのです。

どうやって「墓友」になるケースが多いのでしょうか?

墓友になる人は女性同士が多く、交友の深い友人同士が一緒にお墓を探します。既に交友関係がある友人同士はもちろん、墓地の運営会社が企画するイベントを通じて交流を深め、墓友になるケースもあります。

この他に入居者のお墓を探してくれる高齢者施設もあり、施設スタッフや仲の良かった入居者がお墓参りに訪れるなど「供養してもらえる」という安心感にもつながるでしょう。

独身者や子どもがいない夫婦の場合はお墓を継承する人がいなかったり、子どもがいる家庭でも墓守の負担をかけたくないという考え方が強くなっています。今後は墓友のような血縁に囚われないお墓のスタイルが増えていくかもしれません。

実例紹介②「オンライン供養」という選択

新しい終活の二つ目の実例としてオンライン供養が挙げられます。

オンライン供養は寺院と自宅の間をインターネットで結び、スマホやタブレット、パソコンをつないで供養する方法で、コロナ禍をきっかけに一気に需要が加速しました。

従来では一つの場所に多くの人が集まって葬儀を執り行うことが多かったですが、費用の問題や価値観の変化により小規模な葬儀が中心となってきました。

それに対してオンライン供養ではどこにいても葬儀に参列でき、遠方の人はもちろん、何らかの事情で参列できない人も全国・世界各地からの参列が可能です。

小規模葬儀では参列しないような知人や親せきの方も、気軽に参列できるという魅力がありますね!

実際に、埼玉県の宝性寺越谷別院ではサービスとして葬儀だけではなく、四十九日・一周忌・三回忌・お盆などの先祖供養も行われています。またオンラインでお参りができるWEB墓参りサービスも行っており、時代やニーズに合わせた新しい供養の形を手掛けています。

将来的にはメタバース上での供養などが増える可能性があるでしょう。メタバース上ではユーザーのアバターが仮想空間で供養に参列するため、よりリアルに近い形で空間や心をシェアできます。今までのオンライン供養での寺院と参列者を結ぶことに加え、インターネット上に葬儀会場を作り、僧侶・参列者・故人がメタバース上に集まることで、よりリアルな葬儀に近い空間を作れます。 

シェアリングを活かして最期まで自分らしく

「当たり前」や「普通」に囚われず自分らしく生きるという価値観が浸透してきましたが、これからは自分らしく人生を終えるための終活にも注目が集まりそうです。今後さらに自分らしい最期を迎えるための新しい終活が登場し、十人十色の終活の形が確立されるかもしれません。

人生の最期も自分らしく、豊富な選択肢の中から自分に合った終活の形を見つけてみてはいかがでしょうか。 

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