ライター:見習い編集長

Nolの編集長見習いをしています。好きなものはアイドル、アニメ、漫画。逆張りと順張りのハイブリッドでコンテンツを楽しんでいます。ただいまシェアリングの良さを広めるべく、見習いとして精進中。

千島土地株式会社の取り組み

今回ご案内をしてくれたのは、千島土地株式会社の地域創生・社会貢献事業部の福元さんと宇野さん。千島土地さんは、明治45年に設立された由緒正しき100年超の歴史を持つ企業である。不動産事業を主軸事業としている。

もともとは造船業が盛んだった北加賀屋だが、時代とともに産業が撤退していき1988年に株式会社名村造船所が千島土地さんへ敷地を返還。2004年の工場跡地を活用したアートプロジェクトの開催をきっかけに、北加賀屋とアートの歴史は始まったという。

相席食堂の北加賀屋回が放送されたのが2009年。たった5年で「北加賀屋=アートのまち」というイメージを確立させたのがとてもすごい。(私がTVを見る前からイメージが定着していたかもしれないが…)

そんな短い期間の中で欠かせないキーワードが「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(KCV)構想」だ。

北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(KCV)構想とは

「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(KCV)構想」は、北加賀屋エリア(大阪市住之江区)を創造性あふれる魅力的なまちに変えていく試みとして、2009年に提唱されました。あらゆるジャンルのアーティストや、ものづくりに関わるクリエイターなど、創造的な活動を行う人々が北加賀屋に集うような取り組みを進め、国内だけではなく世界に向けて情報発信することで、このエリアの魅力が向上し、「行ってみたい」「住んでみたい」と思われる場所になることを目指しています。
(おおさか創業千島財団HPより引用:https://chishima-foundation.com/vision

実際、北加賀屋にはマンホールやウォールアート、立体作品など至るところにアート作品が点在していたり、造船業の工場跡地や文化住宅を活用・リノベーションしてコミュニティスペースやシェアスタジオへと改装したりなど…まち全体がまるでアートのようだった。また、「アート」×「共有(シェア)」=「まちづくり」の方程式が体現化されており、とても魅力的な場所だった。

いざ、北加賀屋のまち歩き

① 千鳥文化「コミュニティスペース」

千鳥文化外観

造船業が盛んだった時代に、労働者の住宅として使われていた建物をリノベーションし、コミュニティスペースとして再生。1階は、カフェやバー、テナント区画に加え展覧会やイベント等を行えるホールがある。また、2階は当時の現しが残されており、部屋のドアには住んでいた方の表札があったりと当時の生活を感じられた。

そんな2階では現在、現代美術家・金氏撤平氏による常設展示「クリーミーな部屋」を公開中で、作品がいくつか展示してある。古きと新しきが入り混じった独特な雰囲気が印象的だった。

壁に作られていたのぞき穴越しのアート

② MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)

続いて訪れたのはMASKと呼ばれる建物。鋼材加工工場・倉庫の跡地をそのまま活用し、スケールの大きいアート作品を保管・展示しているという。

写真に入りきらない高さの鉄パイプと木材を使った階段の作品。これは実際に登ることができるらしい。

マリオの青いこうらを彷彿とさせるでっかい作品は、現代美術家・ヤノベケンジ氏の「黒い太陽」という作品。多分私が100人は入るんじゃないだろうか。中は空洞で、「やっほー」と言うと声が反響していた。

このような大型の作品は展示や保管するスペースの確保が難しく、アーティストの方も頭を悩ませることが多いらしい。工場という広い空間、シンプルな内装という特性を活用し、お互いがWin-Winになるだけでなく北加賀屋の新たな魅力として価値づけられていることがとても素敵だと感じた。

③ Super Studio Kitakagaya(SSK)「アーティスト・クリエイター向けシェアスタジオ」

続いて、造船所の倉庫だった建物をアーティスト・クリエイター向けのシェアスタジオとして活用している施設。彫刻や屋台研究家、絵画、映像、デザインなどさまざまな分野のアーティスト・クリエイターがSSKを拠点として創作活動に没頭しているという。

アトリエ、スタジオと聞くと、アーティストがもくもくと作業をする閉じられた空間というイメージがあったが、ここはどうやら違うらしい。定期的にオープンスタジオを開催し、一般の方に作品を見てもらう機会を設けているようだ。見る側としては、普段スタジオというだけあって作品のみならず、その制作過程やバックボーンをリアルに感じられることがとても新鮮でワクワクした。

④ クリエイティブセンター大阪(CCO)/名村造船所大阪工場跡地「アートスペース」

まさに造船所の工場という感じで、当時のままタイムスリップしたような工場跡地が広がる。名村造船所大阪工場からの土地返還で長らく遊休地となっていたところを、現在は、大掛かりなイベントを実施する場として有効活用しているらしい。

名村造船所大阪工場の旧事務所棟の最上階には、当時床に船の製図をしていた跡がそのまま残っている。今でこそパソコン上で3D製図ができるようになっているが、昔は、床に紙をしき原寸大で船の図面を書いていたという。

⑤ NAGAYArt「店舗・住居」

文化住宅をまるっとリノベーション。1階はテナント、2階は住居。「入居者と作る」をコンセプトに、テナント店のアイディアを聞きながらリノベーションされた建物がこちら。

具体的には、当初4つのテナント区画を作るはずだったが、1店舗が2区画利用したり…と、入居者の希望に合わせてリノベーション。スタートアップの飲食店などが気軽に店をスタートできる場所へ、計画の段階から入居者へジョインしてもらったという。このような手法を“ネオカスタム賃貸”と呼ぶらしいが、私ははじめて聞いた。

たしかに、テナント側としては賃貸でありながらも店舗の大きさや内装をある程度自分好みにすることができ、開業としてのハードルが低くなるなと感じた。また、テナント・物件所有者が共創をすることで新たな北加賀屋のランドマークが生まれ、一層の活性化が予想される。今後、定期的に共有スペースでイベントを開催するとのことなので、今から楽しみだ。

向かいにはAPartMENTという集合住宅があった。こちらは鉄工所の旧社宅を一般向け賃貸としてリノベーションするプロジェクトで誕生した建物らしい。

8組のアーティスト・クリエイターが8戸それぞれの部屋を担当し、「アートを内包する集合住宅」として機能をしているらしい。今回は中を見ることはできなかったが、いつか見てみたい。


他にも、道中建物の壁やマンホール、防潮堤などにもアートがあり目が飽きなかった。外国のアーティストが来日した際に、「日本に来た証を残したい」とアートを描ける壁を探して北加賀屋にたどり着く人もいるらしい。

アートを起点としてあらゆる人が「共に」生活をするまち、北加賀屋

ツアーを通して強く感じたのは「共」という言葉だ。アートという軸を起点に、住む人が、訪れる人が、生業をする人が、全ての人が共に自身の持ちうる力を提供しあって、北加賀屋というまちが存在していた。アート、土地、建物、企業、それぞれがそれぞれの良さを活かして、相乗効果でさらに価値ある魅力あるまちが作られている。今ある資源を有効活用し、所有だけではなく共有する、シェアリング・エコノミーの可能性を再確認できるまち歩きだった。

また、このようなKCV構想の中心となって活動されている千島土地さんにも脱帽だ。今でこそ北加賀屋=アートのイメージが定着しているが、決して一朝一夕でつくわけではない。これは余談だが、まちを練り歩く途中、飲食店の方に声をかけられた時も「千島土地さんにまちを案内していただいていて~」と言うと「あ~千島土地さんか!」と声が返ってきた。地域にいかに溶け込んでいるか、が実感できた出来事だ。

北加賀屋のまちは不思議だ。今回のツアーで各所を回るだけで、なぜか創作意欲が高まった。アート一つひとつから感じられるパワーに感化されているのだと思う。そのままの勢いでこの記事を書いているため、稚拙な描写はご容赦いただきたい。

それでも、2時間の中では堪能しきれなかったように感じる。また後日、個人的に絶対行く。

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※普段は開放されていない場所も紹介しています。
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おおさか創造千島財団HP:https://chishima-foundation.com/

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