今注目されている高齢者シェアハウスとは?
高齢者同士が同じ住宅で暮らす居住スタイル
高齢者シェアハウスとは、身の回りのことを自分でできる元気な老人を入居対象とする住居施設です。通常のシェアハウスと同様に、高齢者同士が同じ住宅で暮らすシステムになっています。多くの場合、入居者それぞれのプライベート部屋とシェアリングスペースが用意されているので、入居者はそれぞれのライフスタイルを送れる点が魅力です。
注目され始めた理由は「一人暮らし高齢者の増加」
日本において高齢者シェアハウスが注目され始めたきっかけは、一人暮らし高齢者の増加にあるといえます。内閣府が発表した『令和2年版高齢社会白書』によると、日本の65歳以上の一人暮らし高齢者の数は推定702万5千人です。(※2020年のデータを参照)一人暮らし全体のうち女性は22.4%、男性は15.5%となっています。
この数値は、初回調査時の1980年の結果(88万1千人)から継続的に増加している状態です。老人が一人暮らしをする場合、人とのコミュニケーションが減ったことによる犯罪被害・孤独死などの問題につながることもあります。
高齢者シェアハウスでは、他の入居者たちとのコミュニケーションを楽しみながら生活ができます。そのため、家族と一緒に居られないときであっても、入居している老人を独りにさせないネットワークを構築できるという利点があります。
高齢者シェアハウスとその他の施設との違いは?
介護サービスがない点が介護施設との違い
介護施設・老人ホームの場合、ヘルパーによるサポートが必要な高齢者の支援を重視しているのが特長です。そのため、家賃に加えてさまざまな諸費用がかかります。つまり、介護の必要がない高齢者にとっては、費用面の負担となってしまう場合があります。
その点、高齢者シェアハウスは自立して生活できる老人が対象になっています。介護スタッフが常駐していないため、介護施設・介護老人ホームのような食事・身支度などの介護サービスはありません。その反面、入居者が自分のペースで自由に生活しやすいという魅力があります。
バリアフリーが施されている点が通常のシェアハウスとの違い
通常のシェアハウスの場合、学生や単身赴任中の会社員などといった若者向けの構造・設備の施設が多いです。そういった施設に入居してしまうと設備が使いにくく感じたり、階段や段差などでケガをしてしまう可能性があります。
その点、老人が安心して暮らせるように作られた高齢者向けのシェアハウスの場合、施設や設備にバリアフリー設計が施されているものが多いです。そのため、通常のシェアハウスに比べると、日常生活における怪我や事故の心配が少ない傾向にあります。
高齢者シェアハウスが注目される理由・魅力は?
①人とのつながりを感じられる
高齢者シェアハウスでは、プライベートの部屋以外での他の入居者たちとの関わりが欠かせません。そのため、一人暮らしの頃に比べて人とのつながりを感じられる点が魅力です。共有スペースにおける利用者同士の交流はもちろん、施設によっては地域住民を招いてのイベントを開催することもあり、地域全体でのコミュニティを築けます。
②身体的機能を維持しやすい環境
高齢者シェアハウスでは、掃除・洗濯などといった身の回りのことは、基本的に自分で対処しなくてはいけません。毎日の家事や作業を通して身体を動かせるので、身体的機能を維持しやすい環境になっている点が魅力です。
③入居に関する条件・費用のハードルが低い
高齢者シェアハウスの場合、部屋の修繕費などはオーナーが負担してくれるので、アパートと比べて家賃が安い傾向にあります。介護施設と比べても、介護サービスが用意されていない分、月々の費用を安く抑えられます。
また「住宅セーフティネット制度」の存在も、利用料が安い理由の1つです。国土交通省が2017年から実施している住宅セーフティネット制度は、単身高齢者をはじめとした住宅確保要配慮者に該当する人を入居者とする場合、バリアフリー工事費・改修費などの補助金を国・自治体から受けられるというシステムです。施設の維持に必要な費用を地域がサポートしてくれるので、オーナー・利用者の両方の負担が軽い傾向にあります。
利用料の安さや敷金・保証金などの費用が必要ない施設が多いことから、年金で生活しているシニアにとって金銭的負担・入居ハードルが低くなっています。
④趣味が広がる
高齢者シェアハウスのなかには、施設内に畑や趣味用の部屋などが用意されていることもあります。さまざまな施設を活用することで、入居者それぞれの趣味に熱中できるだけでなく、他の入居者と一緒に楽しむことも可能です。これまで未体験だった趣味にも気軽に挑戦しやすい環境になっているので、趣味の輪を広げられます。
高齢者シェアハウスを検討するときに注目すべき5つのポイント!
①シェアハウス自体のコンセプト
初めて高齢者シェアハウスを利用する場合は「シェアハウス自体のコンセプト」も重要です。同じ高齢者向けのシェアハウスであっても「異世代交流」や「日本×海外文化」などのように、コンセプトが少しずつ異なります。
コンセプトによって施設内の雰囲気やシステムはもちろん、設備の種類や充実度が大きく異なる場合があります。そのため、家賃などの費用だけでなく、入居者となる高齢者自身の好みに合ったコンセプトの施設を選ぶことが大切です。
②食事サービスの有無
料理が得意ではないシニアの場合には「食事サービスの有無」もチェックしましょう。高齢者シェアハウスのなかには、施設内にレストランやカフェが設けられていたり、専門のスタッフ・業者が入居者の食事を用意してくれたりする場合もあります。家での食事と外食を、気分に合わせて使い分けたい方にもおすすめのサービスです。
③共用スペースの管理方法
他の人と施設をシェアリングするからこそ「共用スペースの管理方法」も重要です。共用スペースの管理方法はシェアハウスによって異なっており、入居者自身が掃除を行う施設もあります。入居者が掃除を担当する場合、担当者によって掃除のスタイルが違うことも多いです。
整頓方法にこだわりがある方の場合、入居者間で掃除方法や共用スペースの使い方に関することがトラブルにつながる可能性もあります。そのため、掃除や整理整頓が苦手な方は、業者が掃除を担当する高齢者向けのシェアハウスを選びましょう。
④介護が必要になっても住み続けられるか
高齢者シェアハウスは基本的に、生活に必要な家事や作業は全て入居者が自分で行います。しかし、入居中に怪我や病気などで要介護になってしまう可能性もゼロではありません。そういった場合に備え、入居する施設を選ぶ際には「入居中に要介護になった後も住み続けられるのか」を事前に聞いておきましょう。
⑤内部見学・体験入居ができるか
高齢者シェアハウスの雰囲気や暮らしやすさは、実際に入ってみないと分かりません。そのため、事前に内部見学・体験入居ができるかどうかを確認することも大切です。内部見学では施設の使いやすさを、体験入居では実際の生活のルールなどがチェックできます。入居者となるシニアが満足する施設かどうかを本人に確認してもらい選んでみましょう。
日本国内で実践されている高齢者シェアハウスの施設・実例一覧
①就労支援付きの高齢者シェアハウス(東京都)
東京都江戸川区にある一般社団法人『生涯現役ハウス』では、女性向けの高齢者シェアハウスを開設しました。家賃の継続的な支払いが難しいなどの理由から「住宅の確保が難しい」という単身高齢者の悩みに配慮し、住居の提供とともに仕事探しのサポートを行うスタイルが特長です。
シェアハウスは築30年の空き家を活用したものであるため、空き家問題の突破口としても注目されています。生活上の悩み・トラブルはLINEで運営側に相談できるなど、入居者のサポート体制が設けられている点が魅力です。
②若者×高齢者の多世代共生型シェアハウス(北海道)
北海道千歳市にある旅荘『シェアハウス富丘』では、新たな住まい方の北海道モデルとして、単身の若者と高齢者を対象としたシェアリングを実施しています。また、施設のそばには地域住民との交流ができる「ふぅ庵」という隠れ家が用意されている点も特長です。世代を超えたコミュニケーション・つながりを感じられるスタイルは、地域ぐるみで高齢者を支えるシステム作りにおいて高く評価できます。
③外国人との交流も楽しめる女性専用高齢者シェアハウス(大阪府)
大阪府の住吉区にある女性向け高齢者シェアハウス『コモンフルール』では、介護職の外国人女性と高齢者女性によるシェアリングを実施しています。国際交流が楽しめるだけでなく、日本だけに留まらない助け合いのシステムが特長です。新しい住まいの形として、新聞にも掲載されました。
④ペット同居・短期入居を可能とした高齢者シェアハウス(兵庫県)
兵庫県尼崎市にあるシェアハウス『J&Fハウス関西2』は、入居スタイルに合わせて柔軟に利用できるマンションタイプの施設を展開しています。1ヶ月から入居可能なため、試しに高齢者シェアハウスの利用を考えている方・家賃や費用が気になっている方のことも考えられている点が魅力です。
日本人高齢者はもちろん、外国人や若者・中高年の利用も可能で、世代や国籍にとらわれないシェアスタイルが特長です。また、施設内では小型犬であればペットと一緒に個室で暮らせるので、入居者に合わせて多彩なライフスタイルを楽しめます。
⑤趣味・コミュニケーションの場を多く用意した高齢者シェアハウス(千葉県)
千葉県山武市にあるシニア向けシェアハウス『むすびの家』では、入居者同士のコミュニケーションのきっかけにもなる設備を多く用意しています。花や野菜を作れる中庭やピアノやキッチンを備えた共用スペースがあるので、身体機能の維持だけでなく、入居者同士で趣味を共有することも可能です。
高齢者シェアハウスを検討する際の注意点とは?
①基本的に介護不要な高齢者が入居対象となっている
高齢者シェアハウスは、介護不要な高齢者が入居対象です。そのため、病気や身体的に障がいを持っているなどの理由で介護が必要な人は、基本的に入居が不可能になっています。もし、毎日の生活において軽度な介助が必要な場合は、サポート体制が整っている施設から選ぶことが大切です。
②ある程度の協調性が必要
高齢者シェアハウスでは、他の入居者と一緒に同じ施設内で暮らすことになるので、協調性が必要です。特に共有スペースは譲り合いが大切であり、シェアハウスによってはさまざまな作業を当番制で行うこともあります。そのため、各施設のルールをしっかりと守り、他の入居者に迷惑をかけないように心がけましょう。
③バリアフリーになっていない場合がある
高齢者シェアハウスは、基本的にバリアフリーに配慮された設計ではあるものの、施設によっては完全にバリアフリーになっていない場合があります。特に一般向けの住宅をリフォームした施設の場合、床に小さな段差が出来ていたりする可能性もゼロではありません。事前に見学や短期入居を通して、バリアフリー対応になっているかをしっかり確認しておきましょう。
高齢者シェアハウスで親も子どもも安心できる老後を送ろう
高齢者シェアハウスと一言で表しても、具体的な家賃や入居対象・雰囲気などは施設によって異なります。明るく元気なセカンドライフを考えている高齢者やご家族の方は、ぜひ今回紹介した内容を参考に、高齢者シェアハウスの利用を考えてみてはいかがでしょうか。
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